こんにちは、Noh Jesuオフィシャルブログ編集部です。
今回から「サピエンス全史・ホモデウスから観る、人類の今までとこれから」を5回シリーズでお届けしていきます。
第1回目の今日は、「ホモ・サピエンスは、どのようにして地球を征服する覇者となったのか?」をテーマに、書籍の中の重要なポイントや、書籍には書かれていないnTech(認識技術)による解析を伺いたいと思います。
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- 編集部
- Nohさん、よろしくお願いします。
- Noh
- お願いします。
サピエンスの革命的変化「認知革命」
引用:書籍『サピエンス全史』より -およそ3万年前のヒトの手形
- 編集部
- 『サピエンス全史』では、7万年前に起きた認知革命によりサピエンスの文化の形成が始まり「歴史」を胎動させたということですが、そのきっかけとは何だったのでしょうか?
- Noh
- はい、そもそも進化発展し続けることを「歴史」と言っていますが、人類歴史の道筋を決めた3つの革命のうち、1つ目に当たる「認知革命」がそのきっかけになります。
- 編集部
- どんなプロセスで、認知革命が起こったのでしょうか?
- Noh
- 実は人類は数百万年の間、生物の食物連鎖の中ほどにいて、その頂点に上り詰めたのはここ10万年の間です。
その大きなきっかけとなったのは、火を使用するようになったことです。
- 編集部
- 火を使うことで、動物の脅威から身を守ることが可能になりますよね。
- Noh
- そうですね。また森林などを燃やすことで、道を開拓することも可能になりました。
火という道具を使用することによって、人間は自然を化学的に変化させ、自然の構造を変えることができるようになったと言えます。
そして、一番の恩恵は食物の調理が可能になったことです。
調理のおかげで、食べ物を噛んで消化することの負担が減り、顎や筋肉は縮小して脳が拡大しました。
また、生の肉ではなく、焼いた肉を食べることができるようになると、舌の筋肉が発達して多様な発音が可能になったことが、それまでとは次元が違う柔軟な言語を可能にさせる要因となったのです。
- 編集部
- 動物や人類は、それまでも何かしらの言語をとおして意思疎通を図っていたと思うのですが、それとはどう違うのでしょうか?
- Noh
- それまでは鳴き声や動作など単純な表現の言語を使って、例えば「気をつけろ、ライオンだ!」などと意思疎通をし、「自然科学的に把握できる事物(客観的な現実)」だけを認識し、思考していました。
しかし言語が進化することで、音声や記号を組み合わせて詳細な情報を表現し、複雑な意味や脈絡を共有できるようになったのです。
そして何と言っても一番の特徴は、「自然科学的に把握できる事物」だけではなく、「架空の事物」、つまり「虚構」について語ることができるようになったことです。
- 編集部
- なるほど、ここで初めて人類は現実には存在しないものについて語ることができるようになったのですね!
- Noh
- はい、そうです。言い換えれば、サピエンスは「客観的な現実」の世界だけではなく、「共同主観的」な想像の世界にも暮らすようになったということです。
サピエンスが獲得したこの「想像力」こそが、他の人類種を打ち負かして世界を征服できた成功の鍵であり、これを「認知革命」と言っています。
「虚構」は、人間の歴史を語るために外すことができない重要なキーワードですので、ぜひ覚えておいてください。
「虚構」による協力体制の進化
- 編集部
- はい、わかりました。
本によれば、ネアンデルタール人はサピエンスよりも強靭で、脳も大きく、寒さにも強かったそうですが、生存競争に勝つための要因は、体の大きさや力の強さではなかったという訳ですよね。
- Noh
- そうです。1対1の戦いであれば、サピエンスは他の人類種に完全に負けていたでしょう。
しかし何百人単位の集団の戦いでは、ホモ・サピエンスは「虚構」という概念を獲得したことによるチームプレイの強さで他の人類種を制圧することができたのです。
- 編集部
- なるほど。
- Noh
- サピエンスは「認知革命」によって、その後伝説や神話、神々や宗教など、さまざまな虚構を生み出しました。
そして、多くの人がその共通の物語を信じることで、大勢のまったく見知らぬ他人と柔軟に協力関係を結ぶことができるようになったため、何万もの人からなる都市や、何億もの民を支配する帝国まで築くことが可能になったのです。
- 編集部
- 虚構のパワーはすごいですね!
- Noh
- さらに、その「虚構」を創り変えれば、スピード良く行動パターンや社会構造をも変えることができたので、サピエンスは他の生物や他の人類種を凌ぐことができたのです。
- 編集部
- そう考えると、確かに人類の歴史は「虚構」の歴史と言うこともできるかもしれませんね。
サピエンスが生み出した「虚構」の全体像
引用:書籍『サピエンス全史』より – ホモ・サピエンスによる世界征服
- Noh
- はい、まさにそうですね。ではここで、人類がつくってきた「虚構」の段階をnTech(認識技術)と繋げて整理してみましょう。
- 5段階で説明すると、まず一番下位の虚構は、「思い込み」です。
例えば、「私は歌が下手だから、人から愛されない」など、その人が勝手に思い込んでしまった虚構です。
そして次に来るのは、人類が共通に持っている「5感覚」という虚構です。
これは、『サピエンス全史』でいうところの、「自然科学的に把握できる事物(現実の環境)」と同じです。
ネアンデルタール人などサピエンス以外の人類種は、人間の5感覚に依存しました。
しかし、5感覚で認識したこの「現実」を土台にした状態では、それぞれが自分の経験に依存して思考・判断するため協力関係を創ることがとても難しいのです。
- そこでサピエンスは、その5感覚の外である「虚構」を生み出すようになります。
- 編集部
- 5感覚の外の虚構とは何でしょうか?
- Noh
- それが、「神」という虚構です。
農業革命の時代には、宗教やイデオロギーといった5感覚の外の「虚構」を活用することで、人間のチームプレイを可能にしました。
そして資本主義の時代に入ると、「貨幣」という虚構を生み出します。
クリエイティブ能力を高めて富の蓄積ができる虚構です。
- 編集部
- 神や貨幣も人間の協力体制をつくるための「虚構」なんですね。
- Noh
- そうですね。そして最後に、
- その次に来るのは「アルゴリズム」という虚構です。
生化学的なアルゴリズムやバイオケミカルアルゴリズムを使い、人間の身体とバイオニックハンドや人工の目をインターネットで繋げて同時に複数の場所に存在したり、脳に埋め込んだ電極を通してバイオニックハンドを遠隔操作したりできるようになると、もはや人間の身体の機能や形を固定する必要がなくなります。
- 編集部
- まるでSFのような世界ですね…
ここまで科学が発達した結果として、人類に明るい未来がやってくるのか?が気になる所です。
「虚構」とは?そして、「虚構」を超える真実の世界とは?
- Noh
- はい、そこにいくために順を追って考えていきましょう。
ここまでで虚構を整理してきましたが、そもそも「虚構」とは一体何なのでしょうか?
- nTechでは、虚構とは「イメージ可能な世界」であると定義しています。
イメージ可能な世界は、条件によってコロコロ変わってしまう世界でもあり、観点と観点の解析の結果という因果関係に縛られている世界です。
ですから、この「虚構」の世界を基準にしている限り、人間の宿命的な課題である「観点の問題」を解決できないために、一人ひとりが分離独立した自分の考え・感情・言葉・行動・人間関係を構築し、自発的、能動的、主体的、尊厳的、クリエイティブを生み出すことができず、個性があふれる創造的団結もできず、未来に対する確信を持つことができません。
- 例えば、個人主義、自由主義、民主主義、資本主義、社会主義は、この虚構の世界の中で、どうしたらチームプレーができる人間を結集させることができるのか?というテーマで生み出されたと言えるのですが、それぞれに問題も抱えています。
- 編集部
- そうなんですね、それは具体的にはどういうことでしょうか?
- Noh
- はい。
まず人間は未熟な状態で生まれるため、最初は自分に食べ物を与えてくれた母親を中心とした家族、親族結集をつくります。
しかし結集が大きくなると不平等の問題が生まるため、それを解決するためにリーダーが必要となります。
そのようにリーダーを立てると、今度はそのリーダーの独裁の問題が生じてしまうため、リーダーの任期や回数などを限定して設定したのが民主主義なのです。
ところが、その民主主義を取り仕切る政権が変わることで政策がコロコロ変わると一貫性がなくなってしまうため、その対策として生まれて来るのが「見えざる手(市場)に任せろ」というスローガンを持った資本主義なのです。
しかしこの資本主義によって、どんどん個人のお金の蓄積が起き、個人主義が強化され、貧富の格差は広がって行くという課題が生じてきます。
そんな中で、税金の使い道を福祉に多く割り当てて、共同体を維持するようにした社会主義という形も生まれてはいるものの、世界は依然として多様性、複雑性が増し、格差が広がっていく状態で、秩序自体がカオスになっているのが現状です。
- 編集部
- このカオスをどうやって秩序化すればいいのか?が、やはり人類の持つ課題なのですね。そして今現在もその課題に直面している、と。
「観点の問題」が解決できない状態では、普遍的な共通土台をもつことができないわけですよね。
- Noh
- そうですね。「人類が普遍性を持って統合できるのか?」が今現在の人類の本質的課題であり、だからこそ、観点の問題をクリアできる新しい基準が必要になっているのです。それが、「虚構」を超えた真実の世界です。
真実とは、「イメージ不可能・認識不可能・感じることが不可能なひとつの動きだけがある世界」であり、この真実の世界によって、今までのすべての「虚構」を統合し、今までにない新しい統合秩序をつくることが可能になります。
つまり、この基準を持つことで、今「1」(=今ここひとつだけの心)で生きる=令和感覚が装着でき、一人ひとりが独立された主体性、能動性、尊厳性を得て、観点の問題を超えた一番美しいチームプレイ、Beautiful harmonyが可能になるのです。
そして、その1のDefine(規定)ができる道具が、新しい言語である「イメージ言語」です。
サピエンスが火の発見によって舌の筋肉が発達し、新しい言語を獲得できたことで、「認知革命」が起きたように、
今からの人類は、人類の不幸の原因である「観点の問題」を発見し、
1のDefineを獲得すること、それによって心の筋肉を発達させ、
イメージ言語という絶対世界と相対世界を繋げて理解できる新しい言語の獲得ができるのです。
この言語を活用することで、 今ここ目で見るのではなく、今ここ源泉的な動き一つで物事を観る、認識革命を獲得することができます。
遺伝子工学、サイボーグ工学、非有機的生命工学(AI)に依存した、体感覚の拡張が生み出す第2の認知革命は、人間の存在意義や格差の問題を含め、人類の未来がディストピアにむかってしまうという弱点がありますが、この、科学技術が案内する第二の認知革命を補うことができるのが、今ここ源泉的な動き一つで観る、完全観察システムなのです。
- 編集部
- なるほど、科学技術の進化・暴走による人類の未来の弱点を補える道があるなんて、それは本当に希望そのものですね!その辺りをさらに詳しく聞いてみたくなりました。
次回は、「ホモ・サピエンスが地球を征服した後、どのような統合秩序システムをつくり、それを維持したのか?」というテーマでお届けしたいと思います。
みなさん、お楽しみに!
(ライター:牧野祐子)
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