2018.08.26 仕事・組織

AI時代における今からの書道と後継者選び ~いかにチームプレーを生み出していくか~

こんにちは、編集部の中田です。

会社や組織運営に必要なキーワードは“ヒト・モノ・カネ・情報”と言われています。
その中でも、会社を発展させたり、逆に業績を下げてしまう原因になるのもヒトではないでしょうか?

本日の相談テーマは「AI時代における今からの書道と後継者選び ~いかにチームプレーを生み出していくか~」です。


【相談者】
68歳 男性 書道家師範

【相談内容】
私は、先代から書道の楽しさを教わり、そのすばらしさを広げたい思いで、全国6ヶ所にまで教室を展開することができました。
ただ、年齢に伴う体力の衰えなどもあることから、そろそろ教室を弟子に引き継ぎ、私は主に地元の子どもたちを相手にした啓蒙活動を行っていきたいと考えています。

ところが、引き継がせたい有力な2人の弟子が対立してしまっているのです。

一人は、今までの伝統を継承するべく技術の向上を重要視し、場合によっては教室の縮小もやむを得ないと考えています。
もう一人は、これまでの全国展開を活発にし、さらに事業を拡大させていきたいと考えています。

現在はまだ私が現役で活動しているため事なきを得ていますが、引退した場合、下手をすると内部分裂しかねない状態です。
Nohさんの講演会で「これからはAIが台頭してきて、大きな変化が起きている時代なので、人間にもDeep Learningを取り入れることが必要だ」という話を聞き、AI時代において書道はどう変化するのかということと、その時には後継者をどういう基準で選べばいいのかについてうかがいたいと思いました。
よろしくお願いします。


AI時代における今までの書道と今からの書道

中田
Nohさん、よろしくお願いします。
Noh
よろしくお願いします。
中田
AI時代における書道の変化と後継者選びという質問ですが、まずは、AIが台頭する時代の書道にどんな変化が必要だとお考えでしょうか。
Noh
はい。まず、今までの書道と今からの書道に分けて考えることが大切です。

今までの書道がどのような技術開発をしてきたのか、そして、まだ技術開発していない分野にはどんなことがあるのかを分けることです。

中田
今までと今からの技術開発ですか?
Noh
はい。今までの書道は、書き上げた文字の模様や形といった、目に見える分野を優先した教え方でした。
それでは目で確認できる分野のみの開発に留まります。

ここに、“心のイメージ”と“エネルギーの動きのパターン”を観察する、目に見えない分野の教育を新しく取り入れていくのです。

中田
目に見えない心とエネルギーの動きパターンを観察する教育について、もう少しお聞かせください。

心の理解は、無と有の関係性、宇宙の仕組みまでを取り入れることから

Noh
心を理解するときに必要なのが、無の本質有の本質、そして無と有の関係性を理解することなのです。
中田
無の本質とは、何も無い状態のことを理解するということですか?
Noh
はい。
すべての存在が無いところから有るようになっています。

例えば、一番大きな存在である宇宙。
宇宙が誕生して138億年が経過したと言われています。

ということは、138億年以上前は宇宙がなかったわけですよね?

中田
はい。
Noh
その宇宙が無い状態から有る状態になり、今こうして見える宇宙まで変化してきたのです。

それと同じように、すべてのものが無い状態から有る状態に変化が起きています。

中田
確かにそうですね。すべてのものが、そのような変化をしていますね。
Noh
書道にこれを取り入れてみると、まだ書を書いていない、つまり何も無い状態から、書を書くことで、有る状態に変化したと言えますよね。
中田
その通りですね。
Noh
今までの書道では、書を書く前である“無い状態”を教育体系化してきていなかったので、書き終えた結果物にフォーカスしてきたと言えるのです。
中田
なるほど。
AIが台頭してくる時代だからこそ、人間にしかできない心を取り入れるということなんですね。

具体的には、どのような心を取り入れていけばいいのですか?

要素 具体例
今から 今まで 目に見える 結果物 作品としての全体のバランス
結果 一文字の完成形、バランス
文字の模様・形 とめ、はね等
目に見えない 書かれた書を見ている人の心
書を書く人の心
Noh
はい。
まず、主体である書を創作する人の心と、客体であるその書を見ている人の心を取り入れていくのです。

書く人がどういう心で書いているのか、書きあげた書を見ているその人の心がどういう心になるのか、そして、その関係性はどう変化していくのかなどを体系化していくのです。

中田
確かに今までは、書きあげた書の技術開発に焦点をあてた教育が主流でしたね。
Noh
この主体と客体の心を体系化して取り入れていくということです。
そのために必要なのが無の本質有の本質、さらに無と有の関係性の理解ということになります。

ところで中田さんは、書道能力がどんな要素によって作られているか知っていますか?

中田
どんな要素かですか…。

うーん、よく分かりません。

Noh
書道能力は、「(知識+技術)×姿勢態度」によって決まるのです。

今までは、この要素のうち知識と技術ばかりがフォーカスされてきました。
しかし、この公式が示す通り、そもそも姿勢態度が0(ゼロ)であれば、どんな素晴らしい技術を学んだとしてもそれが生かされないのです。

そして、姿勢態度は、無と有の関係性、そこに心を取り入れていくことで理解でき、全体が見えてくるのです。
これは、AIがマネできないことなのです。

今からは結果物を作り出す前の状態、すなわち、書が無い状態と有る状態の関係性まで取り入れて見ていくということです。
これを人間のDeep Learningといいます(詳細はこちら)。

中田
なんとなくは分かりましたが、もう少しイメージが欲しいです。
Noh
姿勢態度を理解するためには、宇宙が誕生した後の“人類の進化の方向性”を理解する必要があります。
中田
歴史を見る時に今まで何の進化のために人類が歩んできたかということですか?
Noh
はい。実は、人間の進化の方向性は、動物のような体の進化ではなく、他の人との協力関係が進化するようにセッティングされているのです。
中田
確かに。社会性の有無が動物と人間の違いと言われていますね。
Noh
人と人との協力関係の本質を理解するためにも人間のDeep Learningが必要なのです。そして、その進化の方向性を濃縮したメッセージとして書に入れられる姿勢態度になれるのかが今後は重要になってくると思います。

書道家であれば、心についての理解も深いと思いますので、これを誰にでも分かるように体系化させていくのです。

中田
なるほど。
今まで培ってきた心を体系化させることで、さらに多くの人たちに教育をしていけるということですね。
Noh
そうです。ところでこれは聞いた話ですが、数ある大会の中でも、優勝経験者や最優秀賞受賞者しか参加できない大会があります。
そんな権威と名誉のある大会で、常に優勝する超一流の書とはどういうものなのかを科学的に調べた人がいるのです。

その人は、電子顕微鏡を使って一流と超一流の書を見比べたそうです。そしてその結果、決定的な格差をものの見事に発見したのです。

なんだと思いますか?

中田
う~ん、なんでしょうね。
初心者と一流の書なら、私が見ても違いは分かるのですが、一流の書ばかりが集まっているのなら、決定的な格差は分かりません。
Noh
超一流の書は、墨の分子構造が均一ですべて同じ方向を向いていたのです。
中田
ええっ~、本当ですか?
Noh
この領域まで至るには、無から有を作り出す意志と自分の意志に一貫性が必要となります。
なぜなら、それにはすべての濃度・密度を均一にさせる強烈な意志が必要になるからです。

これは、体が有る状態で書を書く技術を重ねたとしても、たどり着くことができません。
体が無い“無我状態”になり、さらにはすべてのものを作り出す神の境地になることが必要です。

ここでいう神とは宗教上の神ではなく、宇宙が無いところから生み出された変化の法則であるメカニズム、科学の世界ではSG(サムシング・グレート)と呼ばれたりもしていますが、私は、“0=∞=1”の心と定義づけています。

中田
すごいですね。
そういった境地にたどりつけるのですね。
Noh
はい。そしてそれを教育体系化させたものがnTechエヌテック(認識技術)です。

この師範の方も、今まで書道の楽しさを感じ、ここまで広げてきた方なので、nTechを学ぶことを通して、その方の姿勢態度を体系化させていくことができるようになりますよ。

どうやってチームプレーを作り出していくのか?

中田
Nohさん、AI時代の書道の変化が分かったところで、もう一つのテーマである後継者選びについてはどのように考えていけばいいでしょうか?
Noh
はい。
実は、先ほどの師範の姿勢態度の体系化を作っていく過程の中に、その答えも含まれているのです。
中田
えっ、そうなのですか?

もう少し詳しく聞かせてください。

Noh
師範の姿勢態度を体系化させていく中に、この師範のこれまでの心の動きも体系化されていくことになります。

そこには、伝統を後世に残していきたいという、師範が先代から受け継いだものもあったでしょう。
そしてそれだけではなく、より多くの人に伝えていきたいという思いもあったと思います。
なぜなら、その師範の姿勢態度が、全国に広がる現在の書道教室を作り上げたのですから。

そういった師範自らの心のDeepの体系化を通して、2人の弟子たちの共通のビジョンとドリームを掲げてもらい、その上で一緒に目標計画を立ててもらうのです。

中田
なるほど!
今までのような伝統派か拡大路線派のどちらかといった二元論による後継者選びではなく、共通のビジョンを持ったところから新しい目標を立て、2人でチームプレーをしてもらう流れに変えていくのですね。
Noh
そうです。
2人の弟子が対立し合っていたのが今までの書道であれば、今からの書道は2人がチームプレーしていかないといけないような、大きな目標計画を2人に立ててもらう。
今からの書道では、書く人の心やその書を見ている人の心といった、今までに体系化していなかったことをプラスアルファしていくのです。

これは「今までの書道を底上げさせよう、一緒にゼロベースから再構築していこう」、そんな姿を見せながら、心を体系化させていくということです。

中田
確かにそうすれば、お互いの持っている能力を出し合って協力していかないと達成できないプロジェクトになりますね。
Noh
このように書道のスタイル自体をDeep化させながら、それを学んだ弟子たちのイノベーションを起こしていく。
その過程の中で、2人の弟子たちが伝統と拡大路線をどう融合できるのか、自然に気づいてもらうことができると思いますし、書道のコンテンツのアップグレードと共に、2人の弟子のチームプレーのアップグレードも起きます。

これらのことを通して、もっと多くの書道のお客さんを増やすこともできるようになると思いますよ。

中田
すばらしい解決方法ですね。
Nohさん、本日は、本当にありがとうございました。
Noh
ありがとうございました。

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いかがでしたでしょうか?
今回の解決策は、書道や芸術の分野だけでなく、会社組織の後継者選びにも言えることだと感じました。

組織運営でカギになる“ヒト”。 AI時代の到来に向けて、その “ヒト”に対してDeep Learningを取り入れることが、私たちにとって必要なことではないでしょうか?

そして、人間関係に問題を作る観点の限界を超えて、裏切らない関係性とゆるぎないチームプレーを可能にするキーワードを知りたい方は、Nohさんが講師を務めるNoh Jesu 1Dayセミナーに、そしてさらに人間のDeep Learningについてもっと詳しく知りたい方は、Industry5.0セミナーに足を運んでみてください。

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