2018.02.04 疑問・お悩み解決

「これからの時代に必要な教育とは?」学校教育の課題と教育のパラダイム転換

「これからの時代に必要な教育とは?」学校教育の課題と教育のパラダイム転換

現在、日本の初等・中等における教育課程は、文部科学省が告示する「学習指導要領」が基準になっています。
2017年3月に告示された「新学習指導要領」では、教育の大きな変革が実施されることについて、日本でも話題となりましたね。

今回は、Nohさんに「これからの時代に必要な教育とは?」というテーマで、学校教育の課題や教育の未来についてお話をうかがいたいと思います。

子どもにとって学校への憧れが失われていく時代

宮川
Nohさん、よろしくお願いします。
私自身、小学校で教師をしていた経験があり、今回このテーマでお話をうかがえるのはとても楽しみです。

早速ですが、Nohさんは今の日本の学校教育について、率直にどのような感想をお持ちでしょうか。

Noh
よろしくお願いします。

日本だけでなくどの国でも、今の学校教育は混乱しているのではないでしょうか。
特に、世界各国でも議論されている「人間よりも高い知性を持ったAI(人工知能)の登場で予測される未来において、人間が必要とする能力とは何なのか」といったテーマは、解決策が見えずに混沌としている状況だと思います。

また、日本では昔と比べ、子どもにとって学校という場所が、憧れを失ってきている状況もあると思います。

宮川
現在、教育現場で頑張っている教師の友人たちも、そのような悩みを抱えていました。
私が教師をしていた頃も、学級崩壊や生徒が先生をバカにする雰囲気などがあり、とても驚きました。

なぜ、このように学校に対する憧れが失われてしまったのでしょうか。

Noh
現代は、インターネット空間を利用し、すぐに知りたい情報を得ることができる時代です。
最近では、個人の能力に合わせて学習を最適化するAIを活用した教材などもありますので、知識だけを学ぶならば、楽しく正確に教えてくれるAIの方が、学校よりも魅力的に感じるのかもしれませんね。
宮川
確かに、AIの開発は加速していますね。
TVやインターネットなどで情報を得ることができなかった時代は、唯一情報を得ることのできる学校が憧れの場所でしたが、今は変わってきています。

これから、学校が魅力的な場所になっていくにはどうしたらよいのでしょうか。

そもそも学校はなぜあるのか

Noh
そうですね。では「そもそも学校はなぜあるのか」という質問から考えてみましょう。

子どもたちにこの質問をされたらどう答えますか?

宮川
学校はなぜあるのか?

…うーん、すぐに答えを出すことは難しいです。

Noh
人間は他の動物と違い、とても未熟な状態で生まれます。

人間をより人間らしく形成し、美しい社会集団にしていくために重要なものが、学問(Input方式)と教育(Output方式)であり、それらを提供する場所が学校ということになります。

宮川
学問(Input方式)と教育(Output方式)…。
ぜひもう少し詳しく教えてください。
Noh
Inputとは「質問する能力」、Outputとは「教える能力」のことです。

例えば『光はどこから生まれるのだろう?どんな仕組みでどこに向かっているのだろう?』など、自ら質問する能力があれば、もっと知りたい、もっと学びたいという好奇心やモチベーションが生まれ、主体的にInputが持続していきます。
さらに、そこで気づいたことを、みんなに無限大発信し教えていきたい、というOutputのモチベーションにつながります。

このようにInputとOutputが繰り返されていくことで、個人、関係性、集団が進化し、美しい立派な完全集団へとつながっていきます。
そんな人間と集団を育てるのが、学校という場所の本来の役割なのです。

宮川
好奇心とモチベーションが無限大持続していく学校だったら、毎日楽しくて仕方ないですね。
今は、まだまだそのような理想とは違った学問(Input方式)と教育(Output方式)ですが、理想に近づくにはどうしたらいいのでしょうか。
Noh
実は、これまで人類が生み出してきた「学問」には、理想に近づくことができない大きな盲点があったのです。

これまでの「学問」と「教育」の一番の限界とは

宮川
盲点…。何でしょうか。ぜひ、教えてください。
Noh
学問はInput方式=「質問する能力」でしたね。

『なぜりんごは落ちるのだろう』『なぜ私はここにいるのだろう』などの「質問」がテーマとなり「問題設定」ができて「問題解決」につながります。

学問は、大きく西洋と東洋の2つに分けることができますが、
・西洋は、「世界の根源とは何か」という質問
・東洋は、「人間は何のために、どのように生きればいいか」という質問

というように、「質問」の出発が異なっているのです。

宮川
大きく質問の方向性が違いますね。
なぜこのような違いが生まれるのでしょうか。
Noh
それは、西洋と東洋の「認識(認識次元)」の違いです。
詳しくは、内海昭徳講師の動画「西洋と東洋の格差はなぜ生まれるのか」を参考にしてください。

実は、西洋も東洋も、学問の限界は「本当に解決しなければならない質問を知らずにいた」ということなのです。

宮川
それはどういうことでしょうか。
Noh
先ほどの西洋と東洋の質問より、もっと重要な質問があります。

それは、「人間の実存の問題」「人間の現実世界の問題」です。

『人間とは何か?』『人間が認識しているこの現実世界とは何か?』という、人間そのものに対する質問が解決できないまま、西洋は人間(主体)と現実世界(対象)を切り分けて研究対象にし『世界の根源とは何か』を探求してきました。
また、東洋は人間とは何かが分からないまま『人間は何のために、どのように生きればいいのか』という質問を探求してきたのです。

これは、人間5感覚脳の「観点の問題」とも言えますね。

宮川
観点の問題は、これまでにもお話しされていますが、ぜひ学問や教育の限界とつなげてもう少し詳しく教えてくださいますか。
Noh
分かりました。それではこの図を見てください。

「これからの時代に必要な教育とは?」学校教育の課題と教育のパラダイム転換

学問のベースになるものが、「質問」から生まれた理論、論理、情報データです。
情報データを得るために、人間がいつもやっていることが「観察・観測」という行為です。

では、私たちはいつも何を道具に「観察・観測」をしていますか?

宮川
脳でしょうか。
Noh
そうですね。
人間の脳は、この現実・現象を正確に認識し、Inputした情報データを正確に読み取ることができないように初期設定されています。

つまり、学問(Input方式)の根本でもある人間の基準点が不完全であるのに、その問題に気付かず、現象を規定し、体系化していること自体が限界なのです。
この現実が「有る」状態が大前提だと、深い質問ができません。

本当は「無い」ところから「有る」世界が生まれているのですから、質問の方向性と深さが変わらなければいけません。

認識技術(nTech)では、無い世界がどのような世界なのか、真実の絶対世界をひとつの動きで明確に規定し、そこからどのようにして変化が生まれるのかという、変化の仕組みを明らかにしています。
ですから、「ひとつの動きしかないのに、なぜエネルギーが生まれているのだろう」など、Of(素材) By(仕組み) For(目的)全てに対して質問が生まれるため、無限大の好奇心とモチベーションが持続していくのです。
答えを導き出してはそれを無限大Outputし、教える能力も持続的に進化していきます。

宮川
観点の問題と変化の仕組みを知らないまま、不完全な学問(Input方式)と教育(Output方式)をベースに学校教育は展開されていたのですね。
Noh
実は、これが教育の最大の盲点なのですが、誰も今まで問題提起していません。

学校へ行っても、何のために学ぶのか、何のために生まれているのかが分からないのですから、学校に対する憧れを失ってしまうのは当然ですよね。
明確なゴールと、持続的なモチベーションの維持、好奇心の維持に失敗している状態なのですから。

宮川
本当に盲点ですね。
Noh
人間の脳は、一度取り入れた情報データをZero化することはできない仕組みになっています。
不完全な情報知識を、無意識的に絶対正しいと思い込み観点の問題を生み出します。

「これからの時代に必要な教育とは?」学校教育の課題と教育のパラダイム転換

観点は、一人ひとり違うものですが、違うままだと摩擦・衝突を生み、だからといって一緒にしてもまた問題です。
観点を否定しても肯定しても問題ですし、自分の観点が完全だと思っても不完全だと思っても問題が生まれます。

観点は、いつもずっと使っているものなのに、これらの問題に気付かずに、質問し答えを探そうとしてきました。
答えが分からない状態は無意識で不安な状態なので、もっとください、足りないと求めたり、批判し合ったり、決めつけ合ったりと人間関係はうまくいかず、みんなが傷だらけです。
これが、人間の実存の問題、現実世界の問題なのです。

宮川
私もまさにそのような傷だらけの状態だったと思います。

例えば「いじめを根本から解決したい」とは思うのですが、その「根本」が何なのか分かりませんでしたから。

Noh
観点の問題とつなげて『世界の根源とは何か』『人間とは何のために、どう生きるべきか』という答えにつながっていくことが、真の学問と教育になります。

これまで西洋と東洋ができなかった学問と教育の限界を、認識技術(nTech)では解決しています。

日本から始まる教育のパラダイム転換

宮川
人間形成を行う学校で、『人間とは何か』の根本が分からないということは、とても大きな限界だと思いました。
観点の問題を、学問、教育の最優先課題にすることが重要ですね。
Noh
そのためには、これまで使っていた基準点を、人間5感覚脳の観点の外、つまり「真実の世界」に大きく変えることが必要です。

この世界は、人間とは何かの答えでもある「真実の自分(人間の無限の可能性の世界)」です。
観点の次元上昇が起きて、変化の仕組みが分かった時に、人間の認識構造が変化し、社会構造が変わります。
これが、教育革命です。

宮川
人間とは何かを明確に規定できることは、これまで誰も成し遂げられなかったことだと思います。
アメリカの未来学者アルビン・トフラーも21世紀は「人間の再定義」が必要だと言っています。
ですが、その「人間の再定義」ができる人は世界中探してもどこにもいない。

私も本当の教育とは何かを探求している最中、Nohさんが体系化された認識技術(nTech)と2009年に出会い、人間の無限の可能性が明確に分かった時は、感動して号泣したのを覚えています。

まさに「根本」が分かったので、これまで解決できずに苦しんでいた様々な教育問題の全ての整理がつき、全てがつながったのです。
この教育にとても希望を感じました。

Noh
人間より優れたAIが、Deep Learningで自ら進化し続ける時代に向け、これからどの国でも、人間自体を進化させる真の教育でなければ通用しなくなるでしょう。
まさに、人間自体にDeep Learningが起きる教育のパラダイム転換が必要です。

無限大の好奇心と持続的なモチベーションを可能に(維持)する学問(Input方式)と教育(Output方式)(を可能にすること)が、人間のDeep LearningでありDeep teacherです。

これまでは、学校と企業は別々のものでしたが、これからの時代は、企業が学校となり、このInput方式とOutput方式を教える場になっていくことが重要だと考えています。

宮川
Deep Learningについては内海昭徳講師との対談でも語られている内容ですね。

また、Nohさんの著書『学校革命』を初めて読んだ時、学校の企業化、企業の学校化という、教育と経済の融合(Edunomics)にも驚きました。
まさに次世代の教育システムとして、世界の指針になると思いました。

予測不可能な未来に対し、明確に方向性を示し、世界の新しい基準点になる基軸教育に取り組まれているNohさんの意志やビジョンにも共感します。

Noh
2020年には東京オリンピックが開催され、世界中の人が日本に注目します。
その年に新学習指導要領がスタートするならば、日本が世界に比類なき教育のパラダイム転換を起こし、全世界に発信していく日本になっていたらとても嬉しいです。

ぜひ日本のみなさんと一緒につくっていけることを願っています。

宮川
ぜひ実現させたいです。
また次の機会に、基軸教育などのお話を詳しくお聞かせください。

Noh さん、今日は本当にありがとうございました。

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いかがでしたでしょうか。
まさに「これからの時代に必要な教育」の方向性が見えたお話だったと思います。

この時代を生きる大人として、子どもたちの未来のために真の教育をぜひ一緒に創造していきましょう。

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