2009.05.24 コラム

日本文明の価値と役割

現代とはどういう時代でしょうか?

人類が開発してきた文化・文明が発展し、髪の毛の断面積ほどの範囲に50万文字を記録できるというナノ・テクノロジー、損傷した身体を万能細胞を用いて復元させる再生医療、人間の脳神経と機械を繋げることで手足の筋肉に普段の10倍の力を発揮させるサイボーグ技術、遺伝子組み換え微生物を使って石油の代わりになる燃料を生産するバイオ・テクノロジー、素粒子と素粒子を加速・衝突させることで五次元の世界まで観察・予測できる技術などが次々と開発され、メディアやインターネットを通して入手可能な情報知識も日々増え続けています。

しかし問題は、こんなにも速い科学技術のバージョンアップと社会の変化に、個人の生き方が対応できず、価値観のカオスがひどくなっていることです。何が正しいのか、どんな方向に何を変化させていけば良いのか等が整理されないまま、地球環境や金融危機などの問題を前にして、個人だけでなく、家庭や学校、企業や国家などの様々な組織が、未来に対する予測ができないカオス状態に陥っているのです。

では、どうすれば良いのでしょうか?

今までは、外側の“物を変化させる技術”ばかりを磨いてきたのですが、これからの時代には、内側の“心(意識・無意識)を変化させる技術(認識テクノロジー)”が必要だと私は思います。認識テクノロジーを別の言葉で言いかえれば、“智慧を融合する技術”ということもできます。そして、“智慧を融合する文化”を持っているのが日本文明なのです。

日本文明には多神教的なものの考え方が浸透しており“多様性”に寛容なだけでなく、世界中のあらゆる智慧を融合させてきた歴史があります。車産業ひとつをとってみても、特許や発明は欧米が主導権を取っているにも関わらず、実際にその特許や発明を活用して市場シェアでも世界No.1になっているのは日本です。

産業革命から始まった経済競争において、勝つことが出来なかったアジア各国が今日のような経済復活を成し遂げられたのはなぜでしょうか?私は日本の経済的成功を土台にしてこそ可能なものだったと思うのです。しかし、その意味と価値を誰もが認識していないのが現状ではないでしょうか。

今までの近代、現代文明をリードするアメリカ・ヨーロッパの大西洋文明に唯一チャレンジをし続けた文明は、実は世界どこをみても日本文明の他にはないのです。

最初は軍事力を使ってチャレンジした太平洋戦争。次は経済力を使ってチャレンジした実物経済。しかし太平洋戦争には負け、経済的にもバブルの崩壊の煽りで大きなチャレンジを続けた日本のエリート層は大きな打撃を受けて挫折を味わい、自信感を喪失してしまっているのが今の日本の悲しい現実ではないでしょうか。しかし日本文明は、もう一度次元が違うチャレンジをするであろうことを私は確信しているのです。

日本文明はすべての分別を融合し、そこから新しい創造を生み出す溶鉱炉のような不思議な力を持っていると思います。今、世界で一番必要とされているのは、<この時代の方向性をリードする存在>ではないでしょうか。特に今までの人類の文明を整理し、全く新しい感動の文明・平和の文明・愛の文明に生まれ変わらせることが日本の使命だと私は思うのです。

今日の物質文明に挑戦し、精神文明を現実化させていく認識の勝利、認識革命。これによって様々な問題を解決し、未来の希望を創造していく、そのチャレンジ、その息吹、思い一つ、笑顔一つ、言葉一つの蓄積によって、希望の未来が完成されていくのです。それが希望の勝利を成し遂げる第一歩となることでしょう。

日本文明は歴史の希望であり、時代の希望です。日本から世界に広げる認識革命を、皆様と共にチャレンジしていきたいと思っています。

チャレンジをし続けている日本文明に誇りと自信感を持ってください。そして時代をリードする日本文明として全く新しい感動の文明・平和の文明・愛の文明に生まれ変わらせていくことを切に願います。