2009.05.24 コラム

意志不通の時代

現代は、孤独や疎外が次々と増していく「意思不通の時代」です。

個人と個人、個人と組織、組織と組織が、互いの意思不通によって不平不満を蓄積しストレスの海を造り出しているのです。今までの人類文明の限界は、この意思疎通を妨害する障壁を明白に特定し、その障壁を突破できる学問と教育を生み出せなかったことです。

その結果、今の時代の学問と教育は、生存のための知識・技術・道具の獲得だけに関心を持つ状態、すなわち生命の原理・存在の原理を理解し、意思疎通の障壁をなくすことで開いた文化、開いた出会い、開いた交流、開いた気づき・感動を創出できない状態となっているのです。

そして自分の主義・主張・判断を絶対優位に立て、自分がつくった自分の障壁は見ないまま、相手が障壁を作ると、自分の思い込みで自分を正当化させる論理を発達させることに忙しい現代人を大量輩出しているのです。

問題解決能力のない記憶中心の教育だけでは、自己批判力・自己反省力を育てる智慧を創造することができないのです。今は、多様な情報知識の中で真実な情報知識を吸収し、編集デザインさせ、最も価値ある新しい情報を発信できる健康な個人を育成しなければならない時なのです。

人と人の心が深くから通じ合い、気づき・感動の溢れる世界をつくるためには、自分自身が作る自分の障壁がどういうものなのか、なぜそのような障壁がつくられるようになっているのか、そのメカニズムを明確に知り、なぜ人間はその障壁に気づくことが難しく、またそれを気づいたとしてもその障壁をなくすことが難しいのかを知ること、そしてその障壁をどのように、どのようなプロセスによって根こそぎ取り除くことができるのかを、正確に研究し、理論化・法則化・学問化・商品化・産業化・文化化させなければならないのです。

意志疎通(コミュニケーション)を始めとした世の中に溢れる様々な摩擦、衝突、葛藤の原因として、『現実のポジション(意識の観点)』からすべての条件、状況を解析しようとすることが挙げられます。『現実のポジション(意識の観点)』からでは、互いが全部違うという、『相対論的な理解』になってしまいます。逆に、『発生のポジション(無意識)』から条件や状況を理解する時には、『絶対的な理解』が可能になるのです。

地球上における人間の摩擦、紛争、戦争は、すべて“観点の違い”から起きる問題です。多様な観点が生まれる仕組みを明確に理解し、その観点をHITOTSUに疎通させる“メタ知識”が、この時代、この日本に大きな役割を果たすでしょう。メタ知識による、「知識革命・認識革命」を通した、より価値あるビジョンを掲げて夢を実現していきましょう。