令和5年という新しい年を迎えました。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
2023年の干支は「卯(う)」ですが、十干と十二支を組み合わせた六十干支では「癸卯(みずのとう)」になります。
「癸(みずのと)」は十干の最後のため「物事の終わりと始まり」を意味し、「卯(う)」は「茂(ぼう・しげる)」という意味があるため「繁殖、増える」という段階です。
また、天のエネルギーである十干の十番目の「癸」は水の陰、地のエネルギーである十二支の四番目の「卯」は陰の木なので、相生(水生木)の関係です。
通常、相生は活かし合う関係です。ですが、癸の「水の陰」の力が強いため、卯の「木の陰」の突破力が負けやすいという特徴があります。このことからみると2023年は「成長したい思いはあるが、強烈な水によって、心の灯が消されやすい年」でもあり、社会の雰囲気も「もう疲れた。何もしたくない」というエネルギーが蔓延しやすくなると予測できます。
実際、このような社会的雰囲気の始まりを肌で感じている方も多いのではないでしょうか?オックスフォード英語辞典を出版する英オックスフォード・ランゲージズが選んだ2022年の言葉のひとつに「ゴブリン・モード」(goblin mode)がありましたが、この言葉は「恥ずかしげもなく自分勝手で、怠惰で、ずぼらで、貪欲で、たいていの場合、社会の規範や期待を拒否するような方法で表れる行動」を意味するそうです。これに象徴されるように、日本のみならず世界においても、「我慢して・合わせて・妥協して・演じる」ことで作る社会的秩序がもはや通用しないことが如実に表れています。
ところで、1945年8月15日を起点にすると、1868年から1945年は男性性の集団武士道の77年、そこから1年のスキマを経て、1946年から2022年は女性性の集団武士道の77年だったと言えます。
参照:【ネタバレあり】nTechからみた『すずめの戸締まり』の解釈
https://www.noh-jesu.com/1589
この155年間は、本来の日本そのものではない「not Japan時代」でした。ですが「物事の終わりと始まり」を意味する癸(みずのと)の訪れと呼応するように、not Japan時代の終わりを告げる鐘が鳴り響き、2023年からは本格的に「日本のオリジナリティ」で挑む時代がスタートします。混じり気のない純度100%の心、源泉の心の動き1-5-1の言語革命によって人間機能のアップグレードをし、その人たちによるチームプレーで人類のプレートを1段階ジャンプアップさせる日本の時代が到来するのです。
時代は今、量子力学と AI(人工知能) によって、これまで人類が頼りにしてきた判断基準(基準点)がことごとく音を立てて崩れています。これは歴史文明における時代的課題です。
産業革命以降、人類は科学の進化発展こそが幸せをもたらすと疑わず、科学万能主義を信仰してきました。科学の判断基準は「事実判断データを用いた帰納的な推論思考方式」ですが、量子力学やAIの登場によって、この思考方式が通用しないことが明らかになってしまいました。このことは人類のライフスタイルの根拠・土台・方向性が完全喪失する時代に突入したことを意味しています。
その昔、「白鳥の色は白に決まっている。だからブラックスワンなど存在するはずがない」と考えられていたため、無駄な努力を意味する英語の諺に「ブラックスワン(黒い白鳥)を探すようなものだ(”It’s the same as looking for a black swan”)」という言い回しがありました。ですが1697年にオーストラリアでブラックスワンが発見されて大ニュースとなり、あり得ないと思っていたことが現実になる可能性があることを「ブラックスワン」と言うようになりました。
また、地球上では「太陽は1日1回、東から上って西へ沈む」のが当然だと疑わなかったところ、夏の北極圏や南極圏に移動すれば「一日中太陽が沈まない期間(白夜)や、一日中太陽が昇らない期間(極夜)もある」と例外が明らかになりました。地球上のポジションが変わるだけで経験値が異なってしまうのですから、経験や事実データは当てにならないということになります。
人間が信仰してきた科学は、ビッグデータを用いて微分方程式で法則を導き出すというように「事実データ」を集めて共通の理論を立て、判断をしてきました。ですがブラックスワンや太陽の例でも分かるように、経験値や事実データは不完全です。経験値や事実データを集めるという「帰納推論」によって導かれた共通の理論は、たったひとつの例外が現われただけで水の泡と化すのです。そして今、帰納推論は量子力学によって「限界だ、通用しない」と、とどめを刺された状態です。
帰納推論の終焉は、脳の時代から心の時代へとジャンプアップする証でもあります。
地球に誕生した人類は、脳依存の文明を700万年間も繰り返してきました。アクセルとブレーキを同時に踏み込めば前進もバックもしないどころか、エンジン等の摩耗や劣化の進行が起きます。こんな馬鹿らしい行為を人類は700万年間もやり続けたのです。
どういうことかと言えば、これまでずっと「心とは?脳とは?」の整理や分別を疎かにし、脳と心を混同して使ってきたということです。心(アクセル)と脳(ブレーキ)を使い分けることなく、常に同時に踏み込んでいたため両翼で飛べなかったのです。
人類は「何が(S:主語)」「〇〇する(V:述語)」で構成されたSV言語を原始時代(約7万年前)に発明し、その言語を未だに使い続けています。日本語、英語、ハングル、フランス語など、いわゆる自然言語と言われる一般的な言語すべてはSV言語ですが、この言語には大きな落とし穴、盲点があるにもかかわらず、誰も気づかずにきたのです。
SV言語は、脳と五感による経験値に基づいています。「存在が存在するのが当たり前」と言う感覚から出発して、複雑で多様な偽物主語(原因)を無数に存在させ、「存在が(S)動く(V)」と認識します。
ですが本来、原因はひとつであるべきです。そこで私は、心の機能と脳の機能を分解、分離して体系的に整理した新言語(心言語)を発明しました。これは、本物の主体ひとつだけ(原因)が「存在が存在するようにみえる」ことを認識する言語です。別名「デジタル言語1・5・1」と呼びますが、詳しくは拙著『パーソナルユニバース』をお読み頂けたらと思います。
言語の限界は奥が深く、SV言語(アナログ言語)から1・5・1言語(デジタル言語)への言語革命は文化DNAの進化を促すという途轍もないパワーを発揮します。文化DNAの進化は人間機能のアップグレードを意味するため、AI時代を生きる人類が最優先して取り組むべき課題です。
産業革命はイギリスから起こり、市民革命はフランス、共産革命は中国・ロシア、IT革命はアメリカから起こりました。ですが日本からはまだ、世界を巻き込む革命は起こっていません。では、このまま日本からは何も起こらないのかといえば、それは有り得ないと私は思います。
とはいえ「軍事力も基軸通貨も最先端技術もエネルギーも無い日本が、いったい何によって革命を起こすのか」と反論や疑問を持たれる方も多いでしょう。
聖徳太子の「和を以て貴しとなす」は日本文明を象徴する言葉です。日本文明の根底には和心が脈々と流れ、調和や関係性など和を重んじる文化を培ってきました。そんな日本には「和とは何か」を鮮明にし、純度100%の心を体系化した教育を世界に広げ、世界を和するミッションがあると私は確信しています。
和と言った時に、一般的には「みんな違ってみんないい」という相対的な和をイメージするかもしれません。ですが相対的な和は脳に騙された偽物の和です。純度100%の心は絶対的な和であり、これを言語化したのがデジタル言語1・5・1です。
日本から起こる革命は絶対的な和、攻めの和による「和業革命」です。和業革命にはイギリス産業革命、フランス市民革命、中国・ロシア共産革命、アメリカIT革命のすべてが含まれているため、人類のプレートを一気に底上げするパワーを秘めています。
純度100%の心は「和心」であり、言い換えると「真の強さひとつだけが実在する」となります。これは、帰納推論の限界を補って超える究極の演繹推論でもあります。
一切の格差を許さない絶対平等の純度100%の心が新しい基準軸になれば、世界平和になるのは時間の問題です。AIの登場によって人間が無用者に転落し、尊厳がズタズタに破壊されようとする今だからこそ、「真の強さひとつだけが実在する」という本物主体となり、尊厳を回復することで、AIとも共存共栄していく道がつくれます。
産業革命が引き起こした産業化は、物質的な豊かさをもたらしました。ですが別の側面からみれば、文明の病気も引き起こしています。
商品化されたものは一部分の必要な機能だけが使われ、まだ使えたとしても、デザインや機能が少し古くなっただけでお払い箱です。無駄をつくり続けるため環境破壊も止まりません。このように商品化された人間や自然は、一部分だけを一時的に使われて傷だらけなのです。
ですから和業革命は、部分だけを使い、傷つける行為にピリオドを打ちます。真の強さひとつだけが実在する純度100%心だけがあり、それひとつしかないから使わないものがひとつもなく、心の満足にダイレクトに働きかけるので地球も傷めません。
この究極の演繹推論である「真の強さひとつだけが実在する」という完全認識、完全技術、完全学問、完全教育を完全言語(デジタル言語)1-5-1によって習慣化させ、心が歓喜で爆発する人々によって新文化を生み出す和業革命は、新しいライフスタイルの根拠・土台、方向性の提案でもあります。
「ただ生きる」だけでは死んでいることと何ら変わりません。真の「生きる」とは、燃え上がることです。これ以上燃え上がれないほど燃え上がって「死に狂い」することが日本の誇りである侍精神であり、日本文明のアモール・ファティ(運命愛)です。
これまでのように五感や脳、SV言語に支配され、存在が存在するのが当たり前の感覚で、だらだらと怠惰な人生を送るのではなく、脳に打ち勝ち、「真の強さひとつだけが実在する」という存在不可能感覚、歓喜発散感覚で、史上最高最強のチームプレーを起こす心の人間を育てる教育革命、和業革命は日本のオリジナリティを最大限発揮する最高の勝負です。
現代は個人主義が蔓延していますが、これこそが脳に支配された証です。これからの共同体主義の時代は、デジタル言語1・5・1を使って真の強さひとつだけで勝負し、自分の運命を愛し、その仲間を一人、また一人と増やしながら、地球市民がひとつに和する世界をつくることです。これは和を以て貴しとなす集団武士道の創建とも言えます。
時のエネルギーをみれば、全世界は暗闇に突入するタイミングです。ですが日本は155年のnot Japan時代に終止符を打ち、いよいよ日本のオリジナルで勝負する希望の光が溢れる年になります。それを現実のものにするには、デジタル言語1・5・1で認識する言語革命です。SV言語による存在が存在する感覚では、「癸」の水の陰のエネルギーを突破できません。ですが、存在不可能感覚で真の強さひとつだけが実在するという認識からスタートすれは日本の良さが開花します。 卯年はうさぎのように跳ねあがる(ジャンプアップ)という意味もあります。ジャンプアップするオリジナル日本を全宇宙が熱望していることを感じ、2023年の日本のミッションをともに成し遂げていきましょう。